2026 年の Firebase Authentication 最新料金解説とおすすめ代替サービス
この記事では、Firebase Authentication の概要と重要なポイントを解説しています。Firebase Auth とは何か、その料金体系のサマリー、そしておすすめの Firebase Auth 代替サービスについてまとめました。
Firebase Authentication の料金の概要
まずは短い答えから、詳細は後述します。すべての料金は 2026 年 7 月時点の Google 公式料金ページ(Firebase 料金、Identity Platform 料金)より引用しています。本ガイドは Firebase Authentication のみを扱い、Firestore や Hosting など他製品は別途課金となります。
- メール、ソーシャル、匿名サインインは 50,000 MAU まで無料です(Spark プランも Blaze プランも共通)。50,000 MAU を超えると、1 MAU あたり $0.0055 から課金されます。
- 電話番号認証は常に有料です。2024 年 9 月以降、SMS 認証には課金アカウントが紐付いた Blaze プランが必要です。SMS OTP の送信ごとに課金され、米国・カナダは $0.01、最も高い地域で $0.46 となります。1 日あたり 10 件までの SMS 送信は無料です。
- SAML と OIDC(OpenID Connect)認証は 50 ユーザーを超えると、1 MAU あたり $0.015、かつ Identity Platform へのアップグレードが必要です。
- 想定外のコストとしては SMS 料金、SAML/OIDC の MAU 課金、そしてアップグレードが必要な機能(TOTP MFA、ブロッキング関数、監査ログ)が挙げられます。アップグレード自体は無料で有効化できますが、それにともなう利用分はすべて追加課金となります。
Firebase Authentication とは?
Firebase Authentication とは、Firebase(Google 提供の BaaS プラットフォーム)に内蔵された ID サービスです。メール/パスワード、電話認証、ソーシャルログイン、SAML/OIDC連携 など多彩な方法で Web やモバイルアプリのサインアップ/サインイン処理を担い、Firestore や Cloud Functions な ど他サービスと統合されています。
Firebase Authentication 単体でも利用できます。他の Firebase サービスを契約しなくても、認証だけなら OK です。無料/有料の範囲とIdentity Platform アップグレードの必要有無、スケールした時の課金の仕組みを理解しておくことがポイントです。
Firebase Authentication で利用できる機能一覧
- メール認証:
- ユーザーがメールアドレスとパスワードで登録・ログインできます。
- メールパスワードレス認証と検証:
- メールリンクによるログイン
- メールアドレスの確認
- パスワードの再発行
- Firebase 内蔵メール送信または自分の SMTP サーバーいずれも利用可能
- 電話(SMS)ログイン:
- 電話番号+認証コードによるログイン
- Firebase 内蔵 SMS サービス利用のみ。2024 年 9 月開始の Blaze プラン(課金アカウント必須)で利用可能
- 匿名ログイン:
- 登録前でもアプリ体験可能な一時アカウント。あとで登録すればデータを保持して移行可能
- 主要ソーシャルログイン:
- Google、Facebook、Play Games、Game Center、Apple、GitHub、Microsoft、Twitter、Yahoo など
- カスタムフェデレーション ID プロバイダー:
- プリセット以外の SAML(Web のみ)や OpenID Connect。Identity Platform へのアップグレードが必要
- 多要素認証(MFA):
- SMS・TOTP(認証アプリ)両方とも Identity Platform アップグレード必須。WebAuthn やパスキー未対応(2026 年 7 月時点、パスキーは Auth エミュレーターでモックのみで本番未対応)
- カスタムテンプレート:
- 認証メール・パスワードリセット・メールアドレス変更・MFA 登録通知・カスタム SMS などテンプレートを柔軟にカスタマイズ可能
- 高度な設定:
- ユーザーアカウント連携: 複数 ID プロバイダーで同じメールアドレスなら連携も可能
- ユーザー操作: 新規登録・削除・メールアドレス存在判定ガードの有効/無効切り替え可
- 登録クオータ: 1IPあたり1日で作成可能なメール/匿名アカウント数制限
- パスワードポリシー: メール/パスワード認証ユーザーのパスワード複雑性ルール調整
- 許可ドメイン: サインイン後にリダイレクト可能なドメインのホワイトリスト管理
- SMS 配信リージョンポリシー: 地域ごとにSMSの可否を設定、ペイロード詐欺防止に重要
- ブロッキング関数: 登録・ログイン結果を変更する独自コードの実行(Identity Platform 必須)
- ユーザー操作・監査ログ:
- 管理者・一般ユーザーの操作履歴を監視・記録(Identity Platform 必須)
- クロスプラットフォームSDK:
- iOS、Android、Flutter、Web、C++、Unity およびプリセット UI ライブラリ
- ユー ザー管理:
- Firebase コンソールからユーザーの追加/無効化/削除やパスワードリセット
Firebase Authentication の料金の仕組み
Firebase Authentication は Spark プラン(無料) と Blaze プラン(従量課金) の2パターンです。どちらにもIdentity Platform アップグレード(MFAや SAML/OIDC、監査ログなど追加機能やエンタープライズ SLA を提供)を追加できます。
よく混乱されるポイントですが、Identity Platform 自体には追加料金がありません。有効化は無料・移行の手間なし・ライセンス料無しです。課金はアップグレードによって有効になる Tier 1/Tier 2 MAU 単価 や SMS 料金テーブルの利用料分のみ。Google の Authentication 価格ページも、これが理由でIdentity Platform ページへ分岐されている構造です。
主なプラン機能差
| 機能 | Spark プラン(無料) | Blaze プラン(従量課金) |
|---|---|---|
| MAU 上限(メール/ソーシャル/匿名) | 50K | 無制限(50K まで無料) |
| メール+パスワード | ✅ | ✅(Tier 1) |
| メールパスワードレス(リンク認証) | ✅ | ✅(Tier 1 ) |
| ソーシャルログイン(主要プリセット) | ✅ | ✅(Tier 1) |
| 匿名認証 | ✅ | ✅(Tier 1) |
| カスタム OIDC プロバイダー | ❌ | ✅(Tier 2、Identity Platform必須) |
| カスタム SAML プロバイダー | ❌ | ✅(Tier 2、Identity Platform必須) |
| 電話ログイン(SMSコード) | ❌ | ✅(SMS 送信毎に課金) |
| 多要素認証(SMS、TOTP) | ❌ | ✅(Identity Platform必須) |
| カスタムメール/SMS テンプレート | ✅ | ✅ |
| ユーザーアカウント連携 | ✅ | ✅ |
| ブロッキング関数 | ❌ | ✅(Identity Platform 必須) |
| ユーザー操作・監査ログ | ❌ | ✅(Identity Platform 必須) |
| 新規登録クオータ | ✅ | ✅ |
| パスワードポリシー | ✅ | ✅ |
| SMS リージョンポリシー | ✅ | ✅ |
| マルチテナンシー(Google Cloud 管理) | ❌ | ✅(Identity Platform必須) |
| エンタープライズサポート / SLA | ❌ | ✅(Identity Platform必須) |
注意点:無料 Spark プランで Identity Platform にアップグレードした場合は、Tier 1 が 1 日 3,000 アクティブユーザー、Tier 2 が 1 日 2 ユーザー までの上限が付きます。
料金詳細
| Spark プラン(無料) | Blaze プラン(従量課金) | |
|---|---|---|
| Tier 1(メール、電話、匿名、主要ソーシャル) | 50,000 MAU まで無料 | $0/MAU(0~50K)、$0.0055(50K~100K)、$0.0046(100K~100万)、$0.0032(100万~1,000万)、$0.0025(1,000万超) |
| Tier 2(OIDC、SAML) | 50 MAU まで無料 | $0(最初の 50 MAU)、以降 $0.015/MAU |
| SMS 認証 | ❌ | 地域ごとに $0.01 ~ $0.46/件・1日10件まで無料 |
追加事項:
- 非アクティブユーザーの保存は無料。該当月に認証したユーザーだけが MAU 課金対象
- 匿名ユーザーは自動クリーンアップ有効時は課金対象外。2024 年 4 月以降、匿名アカウントの自動削除が全プロジェクト標準に。匿名ユーザー用ストレージは 1 億件上限
Firebase の電話認証・SMS OTP の費用とは?
SMS 課金は特に想定外コストになりやすいので詳細に解説します。
- Blaze プランは必須です。 2024 年 9 月以降、電話認証には Cloud Billing アカウント必須。Spark プランには無料枠すらありません。
- 価格は送信先国で異なります。 249 地域分の料金表があり、例:米国・カナダ $0.01、日本 $0.03、イギリス $0.05、インド $0.07、ドイツ $0.10、インドネシア $0.35、最上段は $0.46/SMS です。
- 1 日 10 件まで無料。 これで開発時はほぼカバーできますが、本番には 不十分です。
- 送信ごとに課金。 ユーザーが OTP を未入力でも送信分すべて課金対象。Identity Platform 無しの場合 1日3,000件の SMS 制限あり、有効化で無制限。SMS 地域ポリシーや reCAPTCHA ベース不正防止も多少の助けにはなりますが、高額地域へのボット攻撃でも実際の費用が発生します。
例:ドイツから月 2 万回の電話認証 SMS は $0.10 × 20,000 = 月 $2,000。米国なら $200 です。
SMS 無料・Firebase Phone Number Verification
2026 年 5 月、Firebase Phone Number Verification という SMS を使わない電話番号認証プロダクトが登場しました。SMS コード無し・SIM 情報で認証するため、打ち間違いなど無し&SMS 送信料も不要です。ただしキャリア依存(開始時点で 6 地域10数社のみ連携)、専用料金体系が別途用意されています。ユーザー構成が対応キャリアに偏っていれば SMS コスト削減の切り札ですが、全体置き換えにはなりません。
ケース別シミュレーション
Firebase Authentication は主に B2C 向けなので、「段階別成長での課金額」が一番現実を反映します。ユーザー数は仮定ですが、計算式は公式通り。
ステージ1・リリース初期:8,000 MAU(メール+Google)・電話認証無し
- 全て Tier 1 & 5 万 MAU 未満
- 合計:月額 $0
ステージ2・成長期:6 万 MAU・電話認証追加・米国番号向け SMS 月 2 万件
- 最初の 5 万 MAU 無料、残り 1 万×$0.0055 = $55
- SMS:1 日 10 件無料で月 300 件、残り 19,700×$0.01 = $197
- 合計:およそ月 $252
ステージ3・スケール期:全世界 25 万 MAU・SMS 月 10 万件(米6万、インド4万)
- 最初の 5 万 MAU 無料、次の 5 万×$0.0055 = $275、そこから 15 万×$0.0046 = $690
- SMS:米国 6 万件×$0.01=$600、インド 4 万件×$0.07 = $2,800
- 合計:月額約 $4,365(SMSが7割超)
グラフのカーブが示す通り、MAU の単価上昇は緩やかですが、SMS コストは流量と国ごとにリニアに増大。同じアプリでもインドネシア($0.35/SMS)だと 5 倍の SMS 課金になります。
もう 1 ケース:B2B 混在パターン(Identity Platform 価格の公式例より)
エンタープライズ SaaS:メール MAU 45,000、SAML/OIDC MAU 77,000
- Tier 1(45,000 MAU):無料(5万 MAU 以下)
- Tier 2 最初の 50 MAU:無料、残り 76,950 × $0.015 = $1,154
- 合計:およそ月 $1,154
実際に課金額を左右するのは Tier 1 の MAU レートではなく、SMS の合計数と SAML/OIDC の席数です。コスト見積りで重要なのはその 2 指標です。

